2008年7月 理事会声明 安心安全な生活環境を守るために
2008年7月 理事会声明
安心安全な生活環境を守るために
青森県六ヶ所村・核燃料再処理工場の稼動の休止を求めます
2006年3月31日からアクティブ試験を開始し、本年中にも本格稼動への移行を予定している青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場は、大気や海洋中に1日で原発1年分の放射性物質を排出するなど、時代に逆行する形で、深刻な環境破壊、人体への影響などの危険を生じている。国として早急に規制をかけるのはもちろんなのだが、本格稼動により、年間約5トンのプルトニウムを新たに貯蔵することは、核不拡散の立場に反するもので、国際的に批判を招くものであり、全く必要性のないものである。
三陸産海産物への影響
海洋に放出されている放射性物質は、海流にのり、三陸沖へも流れてくる。当然、海の宝庫ともいわれる三陸でとれた海産物にも大きな影響が懸念される。食糧自給率の低下が叫ばれている中、体内被曝の恐れがある国産の海産物を新たに生み出すことは、食の安全という点から見ても、非常に問題がある。
イギリス・フランスにおける再処理施設周辺での小児白血病の増加
実際、イギリスのセラフィールドやフランスのラ・アーグの再処理施設周辺では、英・仏の政府機関が調査した結果、小児白血病が増えたことが明らかとなった。我々は国民の命と健康を守る医師・歯科医師の団体として、未来ある子供たちが命の脅威にさらされていくことを容認することは到底できない。
施設の耐震性に対する懸念
先日、岩手宮城内陸地震があり、自然の恐ろしさをまざまざと見せ付けられたが、六ヶ所再処理工場敷地内と沖合い5キロほどの海底には、100キロを超えると推定される巨大断層が存在する。今回の岩手を震源地とする地震は、そういう断層がないのにも関わらず、これだけの被害だったことを考えると、仮に地震や事故が起きた場合、原発事故を上回る大惨事となることは明白である。1986年のチェルノブイリの大惨事でも明らかなように、事故が起きてからでは、どんなに医学が発達しても、被曝者を救うことは不可能なのである。
我々は、国民の命と健康を守る医師・歯科医師の団体として、安全の確証がない青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場の稼動を早急に休止し、放出している放射性物質や耐震性などの安全性を確認した上で、国民や周辺の県民の意向を受け、操業に慎重な判断をすることを強く求める。
2008年7月16日
岩手県保険医協会理事会