衆議院厚生労働委員会において、患者、国民の声を無視して「医療保険制度改革関連法案」の採決を強行したことに強く抗議する
政府は、4月24日、医療保険制度改革関連法案(「持続可能な医療保険制度等を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」)の衆議院厚生労働委員会での採決を強行しました。同法案は、国民健康保険法、健康保険法、高齢者医療確保法などを一括して提案し、内容も
①経済的困難を抱えている患者、国民をさらに追い込む負担増計画
②安全性、有効性が未確定な医療を「患者の自己責任」の名で広げる患者申出療養の創設
③都道府県に公的医療費削減の役割を担わせる「国保の都道府県単位化」(都道府県による財政運営、医療費適正化計画の「見直し」など)
など、国民生活に重大な影響を与える問題が数多く含まれています。
しかも、14日(火)に衆議院本会議で趣旨説明、17日(金)から委員会での審議が本格的に始まったばかりで、充分な審議はなされていません。委員会審議の中で出された「患者申出療養は安全性、有効性の担保がない」「国保の都道府県化によっても高すぎる保険料の問題は解決しない」などの懸念に対し、政府は「詳細はこれから検討する」など、具体的なことは何も答弁していません。不十分なところがありながらも、国民の健康と命を50年以上に渡って守ってきた国民皆保険制度の根本を揺るがす政策であるにも関わらず、社会的強者の一方的な理論のみが先行し、経済的に厳しい患者や国民の視点に立った議論が深められていないことに、強い憤りを感じます。
当会には、「患者負担増や保険のきかない医療を広げる計画はやめてほしい」との請願署名が続々と届けられており、全国では20万筆を超えております。こうした多くの患者、国民の声を無視し、十分な審議もつくさずに厚生労働委員会での採決を強行したことは、議会制民主主義を否定するものであり、断じて許されません。 私たちは、強く抗議するとともに、衆議院本会議での採決を強行せず、あらためて厚生労働委員会での審議をやりなおし、廃案にすることを求めます。
2015年4月27日
岩手県保険医協会
会長 南部 淑文