今村雅弘復興大臣の暴言に強く抗議する声明を発表しました
今村雅弘復興大臣の暴言に強く抗議する
4月25日、今村雅弘復興大臣(当時)は、東日本大震災について「まだ東北で、あっちの方でよかった」と発言し、批判を受け大臣を辞任した。被災地の復興に責任を持つ大臣によるこの許し難い暴言に対し、被災地の医師、歯科医師の団体として強く抗議する。
今回の件は、単なる言葉のあやから出た失言ではなく、国の震災復興に対する姿勢が表れたものである。まず、発言の中の「あっちの方」とはどこから見て「あっち」なのか。ここから読み取れるのは、東北で起こったことだから、中央である「こっち」にはたいしたことではなく、東北の被災地に金を使うのは馬鹿馬鹿しいということなのか。いずれにせよ、東北軽視、地方軽視の上から目線と捉える。
また、国は、被災地、被災者に寄り添うと言いながら、被災者の生活再建の道への見通しがつかない中で、医療費を免除する特別措置を打ち切り、被災自治体へ対応を丸投げした。岩手県では、行政の判断で国保加入者、後期高齢者の免除措置は継続されているが、同じく被災した被用者保険加入者は、未だ仮設住宅に入居していても、免除措置は打ち切りされている。当会で継続して取り組んでいる被災者の受診に関するアンケートでも、未だ、生活再建の見通しがつかず死ぬしかないという声も寄せられている。大臣をはじめ国もこういう姿勢であるから、被災者に格差が生じていること、震災弱者が取り残されていることに対し、抜本的な対策を打ち出していない。せめて、被災者の医療を受診する機会が失われないよう、改めて被災者全員の医療費免除を求めるものである。
同氏は今月4日にも、東京電力福島第一原発事故に伴う自主避難者の帰還について「自己責任」「裁判でも何でもやればいい」と言い放った。このような考えを持つものが、復興大臣であったことも論外だが、国民を代表する国会議員としてもふさわしくないことは明らかである。安倍首相も今回の件には即日の対応をしたが、一日一日の生活が切実である被災地復興の責任者である復興大臣に、今村氏を据えた任命責任も厳しく問われなければならない。
震災から6年を経て、岩手県内だけでも1万人の方が、未だ仮設住宅で不自由な暮らしを余儀なくされている。後任の吉野氏には、官僚や党利党略に左右されず、被災地の現状を真摯に受けとめ、被災者の目線に立ち、憲法で保障された人としての暮らしと生活の再建のために全力を尽くすことを期待したい。
2017年4月26日
岩手県保険医協会
会長 南部淑文