「歯科治療 進まぬ院内感染対策」(10月9日掲載)記事について実態に基づいた報道を求めます
「歯科治療 進まぬ院内感染対策」(10月9日掲載)記事について
実態に基づいた報道を求めます
2019年10月9日付の24面に「歯科治療 進まぬ院内感染対策」との標題の記事が掲載されています。標題にあるように歯科医療機関での院内感染防止対策が進んでいないとの内容ですが、その後も調査を行われているにも関わらず、2016年度に行われた古い厚労省調査結果のしかも1回分だけの紹介に留まっていたり、その後の診療報酬改定による新設施設基準の届出が9割以上であっても全数チェックされていないことが強調されていたりと、状況を説明するには不明瞭な内容となっています。歯科医療機関を巡る状況説明としては、上記の点で誤解を生じかねない内容かと考えております。
多くの歯科医療機関では、医院経営規模の大小に係わらず、一定の費用をかけてオートクレーブ等の設備を整えるなど、院内感染対策に力を入れてきています。一方で、保険診療を主体として行う歯科医療機関は診療報酬内で費用をまかなう必要がありますが、その経済的な担保はほとんどなされていないという制度上の課題も存在します。こうした指摘は残念ながら記事にはありません。
また、評価機関の情報を歯科医療機関選びの参考にとして、あるNPO法人が紹介されていますが、当該団体の会員医療機関数は少なく、多くの歯科医療機関で院内感染防止対策が実施されていないのではという誤解を生じかねない紹介となっています。
私どもは、貴紙の記事は、多くの歯科医療機関の信頼を損ない、歯科医療機関や歯科医療従事者と国民を分断させかねず、大きな悪影響をあたえると感じざるをえません。
どうか報道機関としての役割を認識し、今後このような記事を掲載せず、歯科医療現場の実態に基づいた報道を求めます。
2020年1月9日
岩手県保険医協会
会長 南部淑文
「歯科治療 進まぬ院内感染対策」(10月9日掲載)記事について実態に基づいた報道を求めます(PDF形式)