福島第一原発の汚染水海洋放出に反対する声明を発表しました
声明
福島第一原発の汚染水海洋放出に反対する声明
2021年4月30日
岩手県保険医協会
会長 南部淑文
政府は4月13日、福島第一原発の敷地内に溜まり続けるトリチウムなどを含むALPS処理水の海洋放出を閣議決定しました。
東日本大震災からの復興途上にある中、復興に水を差すこうした暴挙は断じて容認できません。
全漁連や福島県漁連の風評被害による漁業への影響を危惧しての反対はもとより、福島県議会や7割を超える福島県内の市町村議会が反対や慎重な対応を求める意見書を採択しています。本県の達増拓也知事や県議会も、国民的な理解を得られているとは言い難いと慎重な対応を求めています。
そもそも、政府と東京電力は「関係者の理解なしに汚染水のいかなる処分も行なわない」と文書回答(2015年8月)しています。また、東京電力については、福島第一原発の敷地内で中身が不明なコンテナ4000基が新たに見つかったことや、柏崎刈羽原発における核防護をめぐる重大事象など、その安全対策に極めて強い不信の念を抱かざるを得ません。
原発推進派と称する自民党「処理水等政策勉強会」の代表世話人・山本拓衆議院議員は、「処理水を2次処理してもトリチウム以外に12の核種を除去できないことがわかっている。2次処理後も残る核種には、半減期が長いものも多く、ヨウ素129は約1570万年、セシウム135は約230万年、炭素14は約5700年といわれる。原発処理水に関する報道は事実と異なることが多いので、国民に事実を伝えるべき」としています。原発推進の議員でも時期尚早と述べているのです。
実際に海洋放出されれば、次世代と環境に取り返しのつかない負の遺産を残すことになるのではないでしょうか。
私たちは、命と健康を守る医師・歯科医師の団体として、性急な海洋放出は絶対に行わないことと、当面、陸上保管を継続し、国内外の英知を結集して海洋放出によらない解決を求めます。