岩手協会からの発言通告に対する答弁(保団連第50回定期大会 発言通告)
「マイナンバーカード『本格運用』は撤回を」に明日はあるのか?
【要旨】
AI社会への移行は時代の潮流であり、不参加ですまされないどころか、日本は世界各国におくれをとっている。保団連が今なすべきことは、デジタル化により生じる医療機関や患者への不利益や弊害に対する法整備を国や政府に提言していくことではないのか。プライバシー保護はもちろん大切なことだが、完璧を期しがたい現実をまえにすれば、この際官民一体で情報流出の際の徹底したガイドラインを作成しておくというのは如何。
【答弁】
岩手協会と長崎協会の代表からは、マイナンバーカードの保険証利用には一定のメリットがあり、反対運動の論評が弱いとの指摘でした。まず、マイナンバーカードの保険証利用の手続きについてですが、非常に細かい文字で記載してあるマイナポータル利用規約に合意する必要があります。内容をみると、まず、「システム利用者は自己責任で利用し、内閣府にはいかなる責任も負わせない」となっており、次に「内閣総理大臣に情報開示できること、第三者に代理させる場合に損害が生じても所管する内閣府番号制度担当室が一切の責任を負わないこと」などが明記されています。これだけ拡大解釈できる事項に同意させておきながら、内閣府番号制度担当室は、事前に通知することなくシステムの利用を停止させることができるという項目もあります。また、「本システムに係る一切の費用は利用者負担であること」、「通信障害等でシステム利用者および第三者が損害を被っても内閣府番号制度担当室は一切の責任を負わないこと」となっており、さらに、「内閣府番号制度担当室はいつでも利用規約を改正することができる」としています。日米地位協定以上の一方的で不平等な規約ではないでしょうか。
カードリーダーを設置すること、マイナンバーカードを保険証利用するということは、この規約に合意しているということになります。合意している以上、相手側にプライバシーの保護や利便性を求めることは不可能です。全ての医療機関ならびに日本国民にこのような利用規約を結ぶことの危険性を周知することが、保団連、協会、医会の役割ではないでしょうか。
また、社会のデジテル化について、国のロードマップでは、マイナンバーカードが前提であり、普及については医療機関に多くを依存しています。社会のデジタル化が本当に国民の利益となるのならば、医療機関側に普及を頼るのではなく、医療機関側が使わせてくださいと言われるようなシステムを構築すべきです。
■「マイナンバーカード『本格運用』は撤回を」に明日はあるのか?(保団連第50回定期大会 発言通告) [PDF形式]
受診行動の変容への対処を含めたビジョンを構築しよう
【要旨】
患者の受診行動の変容がコロナ感染の沈静化により元にもどるかは、社会行動も含めて否定的な意見が大勢であり、コロナ対策をやるほど、コロナ以前の世界観・価値観とは異なる「ニューノーマル」が加速するという識者が多い。現下のコロナ禍に対応することも大事だが、同時にニューノーマルを念頭において将来へのビジョンを今から構築しておかなくていいのか。この危機を奇貨にしてこそ、次世代に何かを遺す活動となる。
【答弁】
大きなテーマではありますが、その気構え、視点は賛同するところです。進歩するICT化の中で、受療行動も合理的なものに変化していくものです。その中でもショックドクトリンが入り込まないように命を守る場として英知を結集する視点も大事かと思います。また、今後もパンデミックが襲ってくると思います。その際の医療現場の備え方として、参考になる貴重な意見でした。
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