「岩手県保険医協会」国民の医療と健康の確保を図り、保険医の生活と権利を守る

 

TOPICS-お知らせ-

声明
2022.08.01

東日本大震災被災者が必要な受診ができるよう求める要請

岩手県知事 達増拓也 様
岩手県保健福祉部長 野原 勝 様

2022年8月1日
岩手県保険医協会 会長 小山田榮二

東日本大震災被災者が必要な受診ができるよう求める要請

 

岩手県は東日本大震災以来、被災された国民健康保険(以下「国保」)及び後期高齢者医療制度の被保険者の医療費窓口負担の免除を継続してこられました。しかし、沿岸市町村の多くが免除継続に反対したため住民税課税世帯については2021年3月で打ち切り、非課税世帯も同年12月で打ち切りました。この度当協会が被災された方々に行ったアンケート調査では、住民税非課税世帯の方が窓口負担が発生した後に「必要な通院はできている」との回答は国保で33.7%、後期高齢者医療で49.0%にとどまり、半数以上の方が「通院の回数が減った」「通院できなくなった」などと回答しています。2012年9月に打ち切られた社会保険の被保険者の方も「必要な通院はできている」は48.6%にとどまっています。アンケートの意見にも「免除がないだけで負担がすごいです。免除を打ち切らないで欲しかった」「皮膚科に行っていたけどやめた。4か所に行くと生活ができなくなる」「物価は上がるし本当に困ります。医療費を無料にして下さい」「薬代2万2,000円をまだ払っていない。免除にして欲しい」「年金が少なく医療費が払えず通院に困っているが車を持っているために生活保護が受けられない」「なるべく窓口負担を軽くして欲しい」などの切実な声が多数寄せられております。県は免除終了に当たり、「生活困窮者自立支援制度などにより経済的な理由で必要な医療が受けられないことがないよう関係機関と連携し支援する」とのことでしたが、当該制度は窓口負担の貸付けなど生活資金の貸付けが可能ですが、いずれ返済しなければならず、また保証人を付けなければ利息が発生するなど利用しやすい制度とは言えません。安心して利用できるよう制度の改善が必要です。沿岸部のある社会福祉協議会の担当者によれば、医療費窓口負担の免除が打ち切られて困ったとの声が相当数寄せられたこと、通院をやめて体調を崩した事例もあったとのことです。また、相談者には所得の状況から生活保護の利用を勧めることもあるが、生活保護基準に該当しないが厳しい生活をされている方には他に制度がないため、病気が悪化し窓口負担が大きくならないよう早期の受診を勧めることしかできず、もどかしい思いをしているとのことです。現実に経済的な理由で受診できない方がたくさんおられ、免除や負担軽減を求める声も多数上がっています。当協会が県議会6月定例会に提出した「東日本大震災被災者が必要な受診ができるよう求める請願」は賛成多数で採択されております。低収入、年金の引き下げ、消費税10%、高額な税金や保険料にコロナ禍と物価高が追い打ちとなり、極めて厳しい生活を強いられています。被災された方が経済的な理由で必要な受診が妨げられることのないよう下記の項目について要請致します。

 

要請事項

一、被災された方が経済的な理由で受診できない事のないように、県としてより踏み込んだ対策を講じて下さい。

 

東日本大震災被災者が必要な受診ができるよう求める要請(PDF形式)