国による自治体へのペナルティを廃止し、 全国一律の医療費助成制度を求めます
会長談話
国による自治体へのペナルティを廃止し、全国一律の医療費助成制度を求めます
2022年9月6日
岩手県保険医協会 会長 小山田榮二
9月6日、盛岡市の子どもの医療費助成の対象が高校生まで拡充する方針であるということが報道されました。久慈市も同様の方向で準備を進めており、これで、既に来年度から拡充が決定している滝沢市を含め、子どもの医療費助成が、県内全ての自治体において高校生まで実施されることとなります。まずは、盛岡市の英断に敬意を表します。
一方、県内33自治体のうち独自の上乗せ制度を設けて窓口負担を無料にしているのは19自治体にとどまっています。また所得制限があることによって、一定の所得があれば医療費助成の対象としない自治体もあります。盛岡市は現時点では所得制限がありませんが、市の担当者によれば、今後、所得制限を設けるかどうかは回答できないとのことでした。給付方法については、現在中学生まで適用している現物給付ではなく、高校生の助成分については、医療機関の窓口でいったん負担し後日還付される「償還払い」を適用します。制度が高校生まで拡充される点では県内一律、足並みが揃うものの、窓口負担は地域差が生じている状況です。全市町村での窓口負担を無料とすることを改めて求めたいと思います。
日本の総人口は減少傾向にあり、中でも18歳以下の子どもの人口は過去最低を更新し、少子化に歯止めがかかっていません。子育て支援の一環として、子どもがお金の心配なく安心して医療が受けられるようにと、子どもの医療費無料化の実現に向けて、地域住民や医療関係者による運動が展開されてきましたし、当協会でも要請を重ねてきました。
現在、自治体が独自の子育て支援策として子どもの医療費助成を実施していますが、本来は、国が全国一律に助成を行うべきです。ところが国は自治体が現物給付を行なっている場合、財政に余裕があるとして、地方交付金を削減するというペナルティを科しています。国は、住民の健康を守り、子育て支援のために努力している自治体を支援するべきであり、ペナルティを科すなどもってのほかです。コロナ禍が長期化する中、労働環境の悪化に加え、光熱費や物価の急激な上昇が子育て世代の経済的困難をさらに深刻にしています。国の少子化対策、子育て支援に対する抜本的な政策の見直しを求めます。