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2023.03.31

診療報酬オンライン請求「義務化」方針の撤回を求める(会長談話)

診療報酬オンライン請求「義務化」方針の撤回を求める(会長談話)

2023年3月29日
岩手県保険医協会
会長 小山田 榮二

厚労省は3月22日、社会保障審議会(医療保険部会)に、光ディスクなどで請求する医療機関に対して、原則2024年9月末までにオンライン請求に移行することを実質上義務付ける計画案(ロードマップ案)を示した。これによると、紙レセプト請求者に対しても、2024年4月以降は新規適用を終了し、既存の適用者には改めて届出を提出するよう求めるとしている。この実行のため2023年度中に請求省令を改正し、期限を区切って実施を迫るものとなっている。

突如示されたオンライン請求「義務化」方針

この計画案は、昨年6月に閣議決定された規制改革実施計画の「将来的にオンライン請求の割合を 100%に近づけていく」、「2022年度末までにロードマップの作成を措置する」としていた内容を具体化したものだが、突如1年半後という期限でオンライン請求を「義務化」するという医療現場を無視した驚くべき方針である。これは、医療機関にさらなる負担と混乱を持ち込むものであり、特に地域医療は大混乱となる。医療機関の経営を窮地に追い込むこのような政策には断固抗議するとともに、直ちに撤回することを強く要求する。

2021年3月に発表された「審査支払機能の在り方に関する検討会報告書」においても、オンライン請求の促進は掲げていたが、「医療機関・保険者等において、混乱なく取り組むことが可能となる環境整備が必要」としていたことから見ても、今回の計画案は医療機関の置かれている実態を全く考慮していないものである。

県内の歯科医療機関の6割に甚大な影響

厚労省は光ディスク等で請求する医療機関について、アンケートを基に移行計画を示したというが、少なくとも、オンライン請求移行に要する期間が「1年以上」「わからない」と回答した数は6割にのぼる。またオンライン請求を開始する予定について「予定はない」が47%と約半数が回答している。このような状態で1年半後に「義務化」を強行しても医療現場は対応できない。とりわけ、岩手県内で光ディスク等電子媒体で請求を選択している歯科診療所は347件で、全体のほぼ6割にあたる(令和4年5月31日時点)。このような歯科診療所は小規模施設が多く、慢性的に人員が不足している。そのような医療機関でのオンライン請求の強制的な導入は大きな負担となり、歯科診療の安定確保が非常に危惧される。医科でも県全体の14.1%にあたる106医療機関に影響が及ぶ。

また、紙レセプト請求する医療機関(県内医科17、歯科23施設)に対しても、紙レセプトは「経過的な取り扱いであることを法令上明確化」した上、改めて届出を求めるなど余計な負担を課すものとなっている。これでは、小規模で地域に根ざして診療している医療機関の閉院・廃院を後押しすることとなってしまう。

コロナ禍が長期化し、地域の医療機関に感染対策の徹底などの多大なストレスがかかり続ける中、医療機関の現状を無視して一方的にオンライン請求を強制するようなことは、閉院・廃院が相次ぐ可能性があり、地域医療崩壊に繋がるため、到底容認しえない。国、厚労省は医療機関にオンライン請求を実質上義務付ける提案を即時撤回するよう求める。

診療報酬オンライン請求「義務化」方針の撤回を求める会長談話(PDF形式)

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