「岩手県保険医協会」国民の医療と健康の確保を図り、保険医の生活と権利を守る

 

TOPICS-お知らせ-

総会
2010.05.10

第33回定期総会アピール

人間の尊厳が、精神的価値を無視し物質的価値のみの尺度で論じられる現代の様相は、極端な経済優先ないしは拝金主義の産物であります。そこでは道徳も倫理も等閑に付され、弱き者に対して冷たく厳しい風が吹いても、世の中は平然として恥じる事がありません。このような風潮に、私達は、戦慄し怒りを覚えるとともに、敢然と挑戦することが使命と考えるものであります。

さて、先の総選挙は、非正規労働者が正規労働者の半数に達し、年収200万円未満の給与所得者が1,000万人超となり、生活保護受給者が急増するというさなかに行われ、民主党が大勝し、自公政権が退陣しました。しかし、すぐにも撤廃すると見做されていた後期高齢者医療制度は、4年間かけて廃止し新制度へ移管するとされました。さらには、75歳以上を65歳以上にするという案も検討されているといわれます。この期待に反した措置に、老人だけではなく多くの国民が、落胆し憤っています。

今回の診療報酬改定は、10年振りのプラス改定とはいえ、全体で実質0.03%の引き上げに留まりました。今までの引き下げ分の7.5%を補填するには程遠い結果となり、「医療費をOECD加盟国の平均まで引き上げる」とする民主党の目標実現には大きな翳りが見えます。また、高度先進医療や救急医療に重点配分する一方で、医科の診療所の再診料が引き下げられ、中小病院や診療所からは、怒りと失望の声が上がりました。歯科は2.09%の引き上げとなりましたが、長期据え置きの技術料の評価は見送られ、これまでのマイナス改定による痛手が甚大で、歯科医療崩壊の趨勢を抑えるには至っていません。

岩手県民の情況も深刻です。2007年においては、年間収入が200万円未満の世帯が25%を超え、相対的貧困率は全国平均の17%に対して23%と、貧困世帯が5世帯に1世帯以上となっています。このような実態は過日の当協会による「受診抑制アンケート」にも反映しています。集計の結果によると、「経済的理由と思われる治療の中断があった」と回答した医療機関は、医科45%、歯科66%であり、中断した疾病は、糖尿病・高血圧・歯周病など長期管理を必要とするものが上位を占めました。また、一時的にしろ窓口で全額支払いを求められる国保資格証明書の交付も増加しています。このように、県民の医療と健康が如実に脅かされています。憲法25条2項に「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とあります。この精神を促進するために、希望する適切な医療を総ての人が享受できる環境作りこそが、私達に課せられた使命であります。

他方、当協会の推進する「肺炎球菌ワクチンの公費助成を求める請願」や「保険で良い歯科医療の実現を求める請願」を採択する地方議会の数が、着実に伸びています。また、当協会の会員21名も加わり全国の2,000名以上の保険医が原告として闘った「診療報酬レセプトオンライン請求義務化撤回を求める訴訟」は、政府がオンライン義務化を取り下げるという歴史的な成果を挙げることができました。新保険業法により新規普及を停止している保険医休業保障制度は、新保険業法の適用除外の運動と制度保全対策を保団連を中心に進めており、担当大臣もこの自主共済問題に一定の理解を示す展開になっています。

周知のように、大国の政治指導者の間でも、「核のない世界」が実現性を帯びて語られるようになってきています。このような情勢に私達は如何に処するか。平和を希求してこそ、生存権を求め守ることができ、真の人間の尊厳が開花するのではないでしょうか。

このような現状に対し、岩手県保険医協会は、多くの人々や団体と手を携えて、安心して生活できる平和な社会を築いていくため、一層の努力をしていく所存であります。 

 

第33回定期総会にあたり、この決意を表明するものであります。 

 

2010年5月30日
第33回岩手県保険医協会定期総会

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