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2024.02.29

保団連第51回定期大会 発言通告『「無歯科医地区」を解消するためにも歯科医療費の総枠拡大と公的支援を』

「無歯科医地区」を解消するためにも歯科医療費の総枠拡大と公的支援を

【発言内容】

厚労省の「令和4年度無医地区等及び無歯科医地区等調査」によると,日本の「無歯科医地区」は令和4年10月末で784地区となった。昭和59年の1,935地区から令和元年度まで減少を続けていたが,このたび前回調査より7地区増加に転じた。

本調査において「無歯科医地区」とは,「歯科医療機関のない地域で,当該地区の中心的な場所を起点として,おおむね半径4㎞の区域内に50人以上が居住している地区であって,かつ容易に歯科医療機関を利用することができない地区」という定義になっている。

現在,「無歯科医地区」が無いのは埼玉,千葉,東京,神奈川,大阪の5都府県のみ。一方,最も「無歯科医地区」が多いのは北海道の63地区,次いで広島と大分の49地区,高知の44地区,岡山の41地区,そして岩手の40地区となっている。加えて,岩手においては前回調査からの増加数が17地区と全国でワーストの結果となった。

岩手は面積が広く人口密度が低いため「無医地区・無歯科医地区」が生じやすい傾向で,同調査における「無医地区」も第6位,地区内の人口は全国最多となっている。

今回調査で増加数がワーストとなった原因を調査したところ,県北の九戸村において唯一の歯科医院の閉院にともない,九戸村の「無歯科医地区」が前回調査の0地区から18地区に急増したことが原因であった。この原因による「無歯科医地区」の急増は,歯科医師が偏在する状況にある,どの都道府県にも起こり得る可能性があると考えられる。

歯科医師過剰と言われて久しいが,現在は歯科医師国家試験の合格者数が2,000名前後,合格率は約60%と歯科医師数の抑制政策がとられている。加えて岩手においては,令和5年度の岩手医科大学歯学部の入学者が30名と,入学定員の57名を大きく下回り充足率が52.6%,全国では9校が定員割れとなっており大変深刻な状況である。

 歯科医療改革提言第3版にある通り,高齢化にともない歯科医師のリタイアが進み,歯学部入学者数が減り,歯科医師国家試験の合格者数が今後も意図的・政策的にコントロールされたまま推移していくと,歯科医師数は不足する可能性が非常に高い。加えて,過疎地区など経営が成り立たない場所では開業が敬遠されるため,歯科医師の偏在解消も喫緊の課題である。少なくとも現在の歯科医師養成数を維持しながら質の高い歯科医療を提供していくためには,歯科医療界全体の底上げと歯科医師の安定的な収入確保が必要である。そのためには歯科医療費総枠拡大が不可欠である。また,歯科医師の偏在解消のためには,過疎地区など経営困難で開業が敬遠される地域では,新規開業や継承,経営維持に対しての公的支援が不可欠である。

いつでも,どこでも,誰もが保険でより良い歯科医療を受けることができるよう,「無歯科医地区」を解消するという観点からも,歯科医療費総枠拡大を求めていくとともに,過疎地区など経営が困難かつ開業が敬遠される地域に対して公的支援を求めていこう。

■「無歯科医地区」を解消するためにも歯科医療費の総枠拡大と公的支援を(保団連第51回定期大会 発言通告) [PDF形式]

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